一場靖弘、ヤクルトを戦力外へ。裏金問題の被害者？【画像】

東京ヤクルトスワローズの一場靖弘投手（３０）が戦力外通告を受けることがわかりました。

ヤクルトが発表した戦力外選手の一覧に一場の名前がありました。

一場といえば、明治大学時代に大活躍し、プロでも即戦力投手と期待され複数球団の争奪戦になった選手なので覚えている人も多いのではないでしょうか。

しかし、その大学時代の栄誉よりも有名になってしまった事件がありましたよね。

そう、“裏金問題”です。

２００４年のドラフトの際に、一場が在京球団への入団を希望していたこともあり、一時は“読売ジャイアンツ”への入団が内定していましたが、球団が一場に対し金銭を授受していたことが明らかになってしまった事件です。

この事件が発覚したことで入団は白紙になり、責任を取って渡邉恒雄が辞任する騒動となりました。

一場自身も明治大学野球部を退部し、しばらく謹慎処分となりました。

さらにその後、横浜ベイスターズ（現ＤｅＮＡ）・阪神タイガースも金銭の授受があったことが発覚し、横浜・砂原幸雄、阪神・久万俊二郎の両オーナーも辞任するという球界全体を巻き込む大騒動となりましたよね。

この事件は当時、連日ワイドショーなどでも取り上げられて大きなニュースとなっていたので野球ファンでなくても知っている方は多いと思います。

この事件をきっかけに、それまでは暗黙の了解として当たり前のように行われてきた有力選手への金銭授受の問題を見直すこととなりました。

ただ、この事件の一番の被害者は一場だったという同情の声も少なくありません。

金銭を受け取ってしまったことは事実でも、そもそも何もわからない大学生相手に大人達が金銭を渡したことがいけなかったのです。

そういった意味で、一場は“大人の犠牲”になってしまったともいえるのです。

しかし、“捨てる神あれば拾う神あり”とはよくいったもので、一時は日本プロ野球球団への入団を諦めてメジャーリーグなども検討していましたが、2005年に創立した東北楽天ゴールデンイーグルスが即戦力の投手を求めて、一場を自由獲得枠で獲得したのです。

楽天入団後は１年目から先発ローテーションの一角を任され、序盤はなかなか結果が出せなかったが、８月２７日の西武戦で相手投手の西口が９回をパーフェクトに抑える中、一場も９回を無失点に抑え完全試合を阻止したというのはプロ野球ファンの間では有名な話です。

この試合に関しては西武ファンからは未だにかなり文句言われてますけどね＾＾；

その後は２年目に開幕投手を務めるなどしましたが、イマイチぱっとしない結果が続き、２００９年３月にヤクルトへトレードされました。

このトレードには裏話があって、当時楽天の監督だった野村克也氏が、

「オレは育てきれなかったが、 ヤクルトは明大閥だから、そっちの方がかわいがってもらえる」

という親心からヤクルトへのトレードに出したというのです。

ヤクルト側も、一場は当時監督だった高田繁氏の大学の後輩であり、

「思い出の神宮球場で（一場の）学生時代の輝きを取り戻させたい」

という強い思いから獲得に動いたようです。

しかしヤクルト移籍後もほとんどを２軍で過ごすなど、結局活躍はできず今回の戦力外となってしまいました。

あのドラフトでの裏金問題で、一場の野球人生は狂ってしまったのかもしれません。

期待されながら入団しても活躍できなかったというのはよくある話ですが、入団前からスキャンダルを食らってしまった一場にはプレーで汚名返上して欲しかっただけに残念ですね。

今のところ一場は現役続行を希望しているようですが、ここ数年の成績を見るとなかなか厳しい状況です。

一場を“拾う神”はまた現れるのか、今後に注目です。